話上手と言われたら誉め言葉になるけど、ただうるさいだけだったんじゃないかと気になった。


「うん。実里ちゃんがニコニコしながら、話してくれるのが嬉しかったし、聞いていて楽しかったよ。でも、たいした返事が出来なかったけど」


「そんなことないよ。唯月くんはいつもちゃんと聞いてくれたから、私も話すのが楽しかったよ」


今まで思い出せなかったけど、唯月くんと話していて、あの頃が脳裏に浮かんだ。一方的に話す私を嫌がらずにいてくれて、優しかった。

今だって、唯月くんは変わらず優しい。


「じゃあ、お互いに楽しかったんだね。少し遅れたけど、お誕生日おめでとう。これ、プレゼント」


「えっ、うそ? ありがとう! 唯月くんも同じ7月生まれだよね? 私、何も用意してなくて……ごめんね」


5才の唯月くんの手紙が入っていた箱には幼稚園からもらったバースデーカードも入っていて、自分一人の写真と同じ7月生まれの子が集合した写真が貼ってあった。