JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜

「痛くない?」


「んっ…

気持ちよすぎて、ヤバイかも…」

頭皮をなぞる響の指に、感覚が連れ去られそうになる。




「…俺も、逃げて来たんだ」

そこでふいに、話が戻る。


「え…そーなの?」


「うん。
地元は隣のO県でさ、美容学校卒業したあと、こっちに就職する形で逃げて来た」


流すよ?と、ひと声挟んで。

泡髪が、クシュクシュと掬い流されていく…



「それで、逃げるが勝ちだった?」


「…どうだろ?
でもそう思うようにしてる。

正解は10人いたら10通りあって…
自分の選んだ事が、その時の自分にとっての正解なんじゃないかって、そう思ってる。

それに、そこから見えるものもあるんじゃないかなって」


確かに…

逃げた事で、親や秀人の気持ちを前より考えれるようになった。



「第一。
誰もわかってくれないなら、自分くらいは自分の事わかってあげなきゃ。

自分が自分の気持ち守んなくて、どうすんの?」


途端、胸が締め付けられて…
泣きそうな気持ちになった。