JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜

2日後。


「あの、北原さんっ」

出勤するなり、同じ作業フロアの女子社員に声掛けられる。


なんだろう?

給料をもらう以上は、しっかり働く。
けどこの仕事を選んだのは…
淡々と作業出来て、コミュニケーションを取らずに済むからで。

なおさら私は、それを避けるように壁を作って来たから…
こんなふうに話しかけられるのは久しぶりだった。


「昨日の帰りねっ?
作業着を着たカッコイイ人から、北原さんが出社してたか聞かれて…
してたって答えちゃったんだけど、大丈夫だった?」


ああ…きっと秀人だ。


「大丈夫です。すいません」



それは私が帰った後なのか、それとも安否確認だけしたかったのか。

とにかく、そこまで心配しなくても…


ふと、電話を切る時に言った言葉を思い出す。

ー「もうその(守ってもらう)必要はないから。
じゃあね、秀人」ー



もしかすると…

それをさよならの言葉に捉えて。
私がとうとう、リアルに殉愛の道を選ぶんじゃないかと思ったのだろうか。


だとしたら、どれだけ心配しただろう…



胸がぎゅっと苛まれる。