日曜日。

私は久しぶりに、実家の門を前にした。



昨日は遅かったし、気持ちを落ち着けたかったからビジネスホテルに泊まったものの。

行く当てがない事だけじゃなく。
響にした作り話を嘘で終わらせず、ちゃんと事実にしたかったから。


だけど…

母さんがやつれてたのは、作り話の中だけであって欲しかったのに。

「ただいま」と突然の帰宅をした私を、出迎えたその人は本当にやつれてて…


どれほど心配をかけていたのかと、胸が握り潰される。



そしてさらに。


「っっ…
あなたって子はっ…

出て行くのも帰って来るのも突然で…
…もうっ、どれだけ心配したと思ってるのっ」

そう泣かれて。

この胸がいっそう強く潰される。



「っっ、ごめんなさいっ……」

覚醒した記憶の、ボロボロに泣き崩れてた母さんも重ねて…
涙が堰を切って溢れ出した。


すると、ぎゅっと抱き締められて…



「でも良かったっ…
っ、こんなに元気な姿になって…

…おかえりっ」


その言葉に、涙がますます煽られる。



「っっ、うん…
うんっ…

…ただいまっ。


母さん、私ねっ?
薬、やめれたよっ?」


途端。
その人が腕をほどいて、信じられない様子で私を見つめた。