JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜

ほどなく訪れた、土曜日。


私は朝から部屋中をピカピカにして…
少ない荷物をまとめて、車に積むと。

夕食を作って、響の帰りを待ちながら…
ひたすら、込み上げる涙と戦った。




そうして…

ただいまと、いつもと同じように帰って来たその人に。


「っ…

おかえりっ…」


いつもかけて来たその言葉を、もう2度とそうする事はないんだと…

噛み締めるように口にして、いっそう涙に襲われる。


それをキッチン作業で誤魔化しながら、渾身の力で防いで。

「今日は酢豚にしたから」と、この部屋に入って来たその人の注意をそらした。


「マジでっ!?
すごい憧子さんっ。
ちょうど食べたいと思ってたんだっ」

そうはしゃぐ声に、胸が苦しいほど切なくなる。



そして。


「今日もありがとうっ。
なんか部屋すごい片付いてて、めちゃくちゃ綺麗なんだけどっ」

洗面所から出て来るなり、そう喜ぶその人に…


寄り縋って、唇を重ねた。



すると驚いたのか一瞬固まって。

でもすぐに私の後頭部と腰に手を回して…


甘い吐息で噛み付くように、そのキスが口内に絡み込む。