JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜

「綺麗…」


朝、駐車場に向かう途中。
大きな桜の木を前に、その淡々しいロゼで彩られた空間を見上げた。


4月になって、一斉に覚醒した桜たちが…
春の息吹を感じさせる。



忙しい響も、今月は落ち着くだろうか?

そう思ってたのに…




その夜。


「え、異動?」

「うん、まだ決定じゃないけど」


なんでも、今働いてる会社が新店舗を立ち上げるようで。
響はそこのサロンディレクターに抜擢されたらしい。

その若さでそれに選ばれるのは異例だそうで…


「うそ、すごいじゃないっ」


「うんっ、だから嬉しんだけどっ…

…正直、ちょっと悩んでる」


「…どうして?」



どうやら、サービスとクオリティを重視してる今の店に比べ、新しい店はハイスキルによるハイリターンを狙ってるらしく。

そこのサロンディレクターともなると、指名をいくつもまたいだり、他のスタイリストに任せる施術が増えたり…

さらには施術料や指名料も上がるそうだ。