「私はっ…
頑張るどころか、ただ逃げてただけ」


「でも逃げるのも辛い。
頑張って来た人にとっては、なおさら。

だけどそれでも、その必要な時間を受け入れて…
次の一歩に繋げたんだからすごいよっ。

それは憧子さんのペースで、ちゃんと頑張って来たからだし。
立ち直る意志があったからだよ」


「っ…
私に、そんな意志が?」


「あったよ。

例えば薬だって、前に飲もうとしてたのを躊躇ってたよね?
それはそこから抜け出したいからで…

立ち直れないって辛くなるのは、立ち直りたい証拠なんじゃないかな」


ちゃんと見てくれてた響に…
自分でも意識してなかった事を、わかってくれてる響に…

胸が締め付けられて、涙が滲む。



「ううんっ、響のおかげ。

響が私を受け入れて、寄り添って、支えてくれたからっ。
響がいなきゃ、意志が現実に押し潰されてたっ…

一緒に居てくれて、ありがとうっ…」


途端、響が再び私を抱きしめる。