「梨花、大丈夫?」


隣を走る加奈に顔を覗き込まれ、


「なんか顔色悪いよ?熱中症とかもあるし休んだら?」


「そんな事ないない!大丈夫だよ」


へへっと笑ってみせる。


……正直、結構疲れた。


なんか全身の感覚がおかしくなってきたかも。


でも、余計な心配かけたくないしね。


ギラギラと容赦なく太陽が校庭を照りつける。


やば……手足が、なんか……変


痺れたような、
誰かに乗っ取られているような。


最近の異変が起きた時の感覚。


頑張りすぎたかな…?


「梨花、本当に大丈夫!?なんかフラフラしてない?」


「大丈夫、だいじょ………」


加奈を安心させようと
笑おうとした、その時。




…………っ!?



「は……っ…か…はっ!」


「え?梨花?」


息を吸おうとしたのに。


…吸っているつもりなのに、
空気が体に入って来ない。


な、何……!?


息が吸えない……!!



「梨花!?」


異変に気付いた加奈が
私の尋常じゃない様子に驚く。



苦しい………!!



耐えきれず目をぎゅっとつぶり
地面へ倒れこむ。


「はぁ……っ!!は……っ!!」


「ちょっと……!?しっかり!」


一緒に加奈も膝をつき私を支える。


加奈、心配かけてごめん、ね……


何度も何度も息を吸おうとするけど
上手く空気が吸えないの………!


「梨花!!梨花!?」


「か………な……っ」


倒れて、加奈にしがみついて荒い呼吸になっていない呼吸を繰り返す私。


ざわざわと皆が集まっているのがなんとなくわかる。


「大丈夫だよ、心配しないで!」


そう言って笑いかけたいけど。


苦しくて目を開ける事すら出来なくて。


「ヒュー……ヒュー……ッ」


誰か……っ助け………て……。



もがいても、しがみついても
苦しみは増すばかりで。


だんだん、皆の声が遠くなって。


意識が朦朧としているのがわかる。


あ、れ…


ぐるぐると目が回ったみたいな
感覚に襲われる。



それは次第にふわふわとした感覚に
変わり……。


ゆっくりと私の意識は
深い闇に落ちていった。