「…梨花さん、目が覚めたようですね」


突如、私の思考をさえぎって病室に入ってきたのは


白衣を着た、若い男の人だった。


「お話があります…」


そういう先生の顔は真剣で。


「お、お母さん!?」


その先生の後ろにはお母さんも
蒼白の顔で立っていた。


倒れただけで、普通お母さんも呼ぶ……??


2人の尋常じゃないようすに、
違和感を感じたのは私だけじゃないみたいで。


「ご家族以外は外でお待ち下さい」


先生は、きょとんとした顔の
加奈に、そう言った。


「え、あ、わ、わかりました。」


加奈は、びくっと肩を揺らし


「また後でね」と言い残し病室から出て行く。


な、なに…??


私とお母さんと先生の3人だけになった
病室は、なんだか異様な雰囲気を纏っていた。


「梨花さん」
先生が固く閉ざされた口を開く


「…は、はい」


先生の声音に、なにか恐ろしいものを感じた。


一体、なんなの…??


「梨花さんが今日倒れた原因ですが。」


「え?」


熱中症…だと思っていたんだけど…


じりじりと冷たい感覚が襲う。


「ここ最近、手足が…手足の、自由が効かないことや、片足だけ細くなったりしましたか……?」


あ……


数週間前から私を困らせていた…


ドクドクと変に脈打つ胸を抑える。


「は、はい」


その瞬間


明らかに先生の目の色が変わった。


「それは本当ですか?」


「はい…」


なに、なんなの…??


さっきから疑問しか湧かない。


ただ、先生とお母さんの表情が
ただ事ではない事を物語っていた