「零さん!喉乾きませんか!?」
「いや?別にそーでもねーけど」
「私の喉乾いちゃったので、近くの自動販売機でなにか買ってきますね」
「なら、俺も一緒に行くぞ?」
「零さんはここに居てください!すぐに戻ってくるんで!」
「...わかった。何かあったら叫べよ?」
「はい!」
砂浜に転がした靴を履いて、シュバっ!!と逃げるようにこの場を離れる。
やばい...
やばすぎる。
零さんの顔を見ると、言いたいのに言えない気持ちが溢れだしそうで言っちゃいそうになる。
もちろん言うつもりもないし
言ったら言ったで、零さんに拒否られる事を想像すると
怖くなって、やっぱり言えるはずなんかないって
自分の臆病さを実感させられる。
だから、兎恋の件が終わるまでは
せめて、零さんの隣を私が独占するんだ...
それでいい
それでいいから。
ギューッと胸を締め付ける切なさに、手を握りしめながら赤い自動販売機の前に足を止める。


