零さんの世界を味見したくて
自分から踏み込んだ世界は、味見どころじゃどんどんなくなっていく。
走り出すバイクに、零さんの背中が暖かくて。
ギュッと零さんのお腹に回す自分の腕が、零さんの体温を感じて目を瞑りたくなるくらい胸がキューンってなるんだ...。
「ほら、降りろ」
「はい...って、わあ!」
キラキラ、キラキラと、連れてこられた場所は綺麗な海。
「すっごーい!零さん見てください!!海ですよー海ー!!」
「...ふっ、ガキ」
「がっ...!!ガキってなんですか!!」
「海ごときで喜ぶとか充分ガキだろ」
「だって両親亡くなってなかなか来る機会なかったんですもん...」
「...」
自分で言っておいて、空気を悪くしたのを数秒経ってから気づく。
無言になる零さんに、なにか言おうとバイクから降りると
ガシっと乱暴に外されたヘルメットと、乱暴に撫でられる頭。
「ちょっ!零さん髪の毛乱れちゃいますっ...!」
「なら...また連れてきてやるよ」
「...!」
「海だけじゃなく、お前の行きたいとこ全部...俺が連れてってやるよ」
「...零さん...」


