【完】月明かりの下、君に溺れ恋に落ちた。







いやいや、こんなゴチャゴチャした所に同じ名前の人なんかいっぱいいるはずだよ。



でも、"零"なんて名前、なかなか耳にしない珍しい名前だと思う。



それにこんな簡単に見つかっていいものなのかと多少の不安もあったが

私はフードをこれでもかってぐらいに深く被って零さんの噂をする彼らに話しかけてみた。





「...あの?」



「ああん?」


「誰だテメェ」


「なんだコイツ顔も見せねーで怪しいヤツだな」




話しかけてはすぐに警戒された。



傍から見ればこの格好
確かにこんな派手な街には地味すぎて怪しいよね...。




でも、そんな事をいちいち気にしてる暇なんかない


怖いけど...
零さんに会うためには自分から行動しなくちゃいけないんだ。




「あの、盗み聞きするつもりはなかったんですが...私、"零"と言う名前の人探してて...あなた方なにか知ってそうだったので話しかけてみたんですけど...本当に零さんはこの街にいるんですか?」



「おー居るっちゃあいるけど...つかお前誰?」



「もしかしてお前!"兎恋(うれん)"の回し者か!?」



「あぁ!?こいつらが最近零さんの後追いかけ回してるって奴らか!!」