【完】月明かりの下、君に溺れ恋に落ちた。





「...はあ!?いや...意味わかんないから!
もう冗談はやめてよ!本気で怒る...」



「怒るよ」と口にしようとした時
直人の顔がどんどん私の顔に近づいてくる。



あと数センチでキスしそうな口と口の距離に、さすがに危険を感じて顔を横に動かすと。

拒否った私に直人の顔が分かりやすいくらい歪んだ。




「...そんなにアイツの方がいいのかよ」



聞いた事のない低い声で言われて、ビクッと肩を震わせる。




「な...おと?」


「なんでずっと一緒にいた俺じゃなくて、あいつなんだよ!」




直人の悔しそうな顔に、目を見開いてただ単純に言葉を失った。



いつもより真剣な表情


いつもより低い声


いつの間にか怒りを含んだ言葉。




全部が全部、直人が直人じゃないみたいで


その幼なじみの姿を、ずっと一緒にいて初めて見た姿だった。