誰がこんな写真の写り方を望んだんだろう...



まともな写真が1枚もないくらいプリクラ機から出てきた写真は美女と野獣ではなく、美男と野獣の写り方だった。




「うぅ...零さんだけかっこよく写ってズルいー!!
ただでさえ顔整ってるくせに、私だけ変に写ってこれじゃあ携帯の待ち受けにすらできないじゃないですかー!!」




「うわーんばかあぁああ!!」と、泣いてる私の横で零さんは上機嫌。




プリクラ撮りたいって言った本人より嬉しそうってなんなの...と思ったけど


普段顔に出さない人が、こう感情を表に出してるのを見ると嬉しくてなんでも許せちゃう。





「...他にしたい事はないのか?」


「うーん特になんにもないですねー!
私は零さんとなら、なんだって楽しいと思いますが」


「そうか...、ならこのまま帰って抱くぞ」


「なぜそうなるんですか!!」




ペシっと零さんの背中を軽く叩いて、なんだかんだで撮れて嬉しかったプリクラをカバンの中に閉まった。




そしてゲームセンターから出ると、うるささに慣れていた耳が急に静かになる空間に違和感を感じていた。




「零さん今日はありがとうございました!!」



「...次どっか行きたい所あったら言え。
お前は俺が質問しないと答えない奴だからな」



「だっ...て迷惑かけたくないから...」



「お前に関しちゃ、迷惑だろうがなんだろうが頼られる方が嬉しいに決まってるだろ。
それより人間、言われないと気づかねーんだから、言ってくれた方が何倍もマシだ」



「...っ!」