裏切りの真紅~戦乙女と紅番外編~

「……っ!」

傷の痛みに歯を食いしばる。

…乙女、お前とて無傷ではあるまい。

恐らくは、裏切った俺の事を想いながら歯噛みしているのだろう。

それでも…お前は倒れぬよな…。

ならば。

「ひっ!?」

今が好機だというのに、精鋭兵達の攻め手が止まった。

…俺の顔が…紅く染まった顔が嗤いに歪む。

「残念ながら…俺の前では死すら裏切る」

そう呟いて。

「ぎゃあぁぁあぁっ!!」

閃光とも見紛うほどの槍の一撃が、数人の兵士の腹を貫いた。

一人貫いても、二人貫いても威力は殺されず、ついには四人目の腹に突き刺さってようやく止まった。

それを素早く引き抜き。

「ぬぅううぅうっ!」

今度は払いで甲冑ごと兵士達の肋骨を打ち砕く!







「ま…魔風…紅い魔風だ…!」





誰かが呟いた言葉が、阿鼻叫喚の声に混じって聞こえた…。