まばらに信号待ちする人達を押し退けて、私は叫びながら必死で手を伸ばす。


「だめ━━━っ!!」


私が伸ばした手は声に振り返った春優君の腕を掴んだ。やったと思った私は力一杯春優君を引っ張った。不意をつかれた春優君は元の場所に倒れ込む様に戻った。


しかし、それと入れ替えに私はトラックの前に飛び出してしまった。あ、と思った時には体に衝撃を受けて宙に舞っていた。


地面に落ちるまで一瞬のはずなのに、私には驚いてから青ざめる春優君がスローモーションのように映った。


「卯月━━っ!!!」


あ、春優君の声だ…。


頬に冷たいものを感じる。


地面に倒れた私は薄ら目を開ける。目の前に目に大粒の涙を浮かべた春優君の顔が見えた。


「何やってんだよお前っ…なんでっ……!」