ハッと目が覚めて、ガバッと起き上がる。


なに…今の夢……。


夢の最後の光景が思い浮かぶ。
目の当たりにした悲惨な交通事故。


事故……?本当に事故だったの?
確かに車に引かれたのは事実だけど、あれは春優君が自ら一歩前に出ていた。


だとすると、あれは事故じゃなくて……。


「自殺……。」


春優君は家から飛び出した後、自ら命を絶つ選択をしてしまった。そんな選択をしてしまった原因はたぶんその前の家の中から聞こえた怒鳴り声と関係があるはず。


時計をふと見るといつもよりだいぶ早い時間。
そうだ、借りたパーカーを洗濯しようと思って目覚ましを早く設定したんだった。


机に置いたままのパーカーを手に取った。


何にしても、あんな夢の通りにさせない。
昨日、正夢は自分次第で変えられると分かったし、私が未来を変えてみせる。


私は考えるのを一旦止めて、パーカーを持って自分の部屋を出た。


リビングを通り過ぎると、フライパンで焼く音が聞こえる。きっとお母さんがお弁当を作ってくれているんだろう。