愛じゃなかったのかもしれない。 ただ私が甘えたかっただけだったのかもしれない。 だけど、私にとって緒方科長は憧れの存在だった。 素敵な人だった。 今、目の前にいる緒方科長がどんなに怖くても、 私は緒方科長に嘘つくなんて出来なかった。 「好きって……気づいちゃったの……」 涙を零しながら答えた私の言葉を、緒方科長は黙って聞いていた。 そして、掴んでいた私の手首をゆっくりと離した。