緒方科長が部屋を出た後、私は機材に付いてる鏡で顔を確認した。 赤い目。 今朝よりも情けない顔。 だけど、心の中は満たされていた。 この満たされた気持ちはほんの一瞬かもしれない。 けどこの感覚を、私は離したくない。 大きく深呼吸をした後、さっきよりも軽く感じるドアを開けた。 誰もいないと思っていたドアの向こうに思わぬ影があり、私は驚いた。 真っ直ぐな瞳をした彼が立っていた。