日曜日の午後、ずっと勉強会とかで忙しかった俺は、久しぶりに健史と家でのんびりしていた。


テレビをつけてみたり、雑誌を広げてみたり。

だけど、何もしなくていい自由な時間ってものに、俺は落ち着けなかった。

学生の頃は家でごろごろ出来る時間があると、それだけで幸せだったのに。



「なぁ、最近相原遊びに来なくなったな?」

「ああ。おまえが彼女つくったからだよ。
相原すごいショック受けてたぞ」


ソファに寝転び雑誌を見ながら答える健史に、俺は何も言えない。


「『一途な人だったから好きだったのに~』ってな」

「は……?」


相原の甲高い声を真似て言った健史に、俺は眉を顰めた。



「相原さ、志則がいろんな女から誘われても一途に一人の女を思い続けてたのが好きだったんだって」



なんだよそれ……。

なんか矛盾してないか?

もし俺が相原の押しに負けて相原を好きになっていたら、相原はどうするつもりだったんだよ。


女ってわからん。

全然わかんねぇ……。



首を傾げてる俺に、健史が雑誌を見ながら言った。


「俺も相原と同じ意見だけどね」



おいっ! おまえもかよ!!

心の中でそう突っ込みながら、俺は自分の気持ちに嘘をつき続けた。



俺は、もう後ろを振り向かないんだ。