「先生、怪我をしてるのに明るいから。
どうしてそんなに堂々としてられるの?
僕、こんな姿友達に見られるの恥ずかしいよ……」


俯いた陸君に一瞬戸惑った。

けれど戸惑った姿を見せちゃいけないと思いすぐに口を開いた。



「恥ずかしくなんかないよ。
陸君は何も変わってないんだから。
ただ体を動かすことが不器用になった、それだけだろ?」


「そうかな?」


「そうだよ。勇気出せって!
……な?」


「うん。そうだね」



俺の言葉に陸君が笑って答えてくれた。


「よしっ! じゃあ早速リハビリ室に行ってみようか!」

「うん!」




看護師に手伝ってもらい、車椅子に乗った陸君とリハビリ室に移動した。


その陸君の後ろ姿を見ながら、俺はさっき胸に閊えた思いを必死に打ち消そうとした。

だけど、消そうとするたび陸君の笑顔がその思いを呼び起こす。




本当に勇気がないのは俺なのかもしれない。


俺は、陸君の瞳を真っ直ぐに見ることが出来なくなった。