味気ない、白い建物。




ここから出るなといわんばかりの、

てっぺんの尖った高い門。





ここに似つかわしくない、

"ひまわり園"の文字。




今までの俺なら、


こんなところで暮らすなんて、

考えもしなかったし、


正直、憂鬱な気分だっただろう。



だけど、

気持ちの整理すら出来ていない俺には、

そんな感情すら浮かばなかった。




あたりを見渡し、

備え付けてあるインターホンを押す。





―――はい



聞こえてきたのは、若い女の人の声。



「先日連絡しました、大原です」




―――あ、お待ちしてました。少し待って下さい。