私は、水本 桜。
桜と書いて、「ちえり」と読む。
なんだろ、言うなればキラキラネームの一
歩手前みたいな名前。
それ以外は、ごく普通の高校二年生で
ごくごく普通の、図書委員で。
友達もいて、
勉強も、顔も、運動も、中の上くらいで。
何もかもが普通で。
至極一般的。
だから、普通に恋をした。
相手は、毎日のように図書室に来て
ずっと本を読んでいる男の子。
名前は、「宮崎 舞音」
「まおと」だなんて、ちょっとチャラい名前
だけど(個人的に。)
端正な顔立ちで、
それなのに、派手な事はしないから
女子に叫ばれることも、少ない。
というか、
私みたいに、陰でじっと見つめるこの方が
多い。
だから、ファンは沢山いる。
だけど、私は彼の表情を一番知ってるよう
な気がする。
彼と話すことは少ないけれど、
本を読んでいる時、
クスッ、と控えめに笑う姿が
私の目を引いた。
そんな、私は宮崎くんに
恋をした。