最初のその報せを、私は涼くんから聞いた。


大晴山で、昴が事故で亡くなったと、スマホの向こうで涼くんは声を詰まらせながら口にした。


信じられなかった。


まるで世界がひっくり返ったみたいだった。


そんなの、本当じゃない。


きっと何かの間違いだ。


「うそ、だよ……」


私は思わずそうつぶやいていた。


「……だって、昨日、いっしょにいたんだよ……? 私の話を聞いてくれて、来週、いっしょに行きたい場所があるって、約束して……」


『……嘘じゃないんだ、仁科。僕だって……信じたく、ない。でも……』


涼くんの声を最後まで聞いていられなかった。


スマホを投げ出して、私は部屋を飛び出していた。


とるものもとらずに家を出て、屋上へと向かって足を動かす。


きっと昴はそこにいる。


いつもと同じように、「よお、梨沙」って迎えてくれる。


そう、信じていた。


信じて、疑わなかった。


だけど――


「あ……」


私を待っていたのは、だれもいない屋上だった。


そこにあるのは静けさと、虚ろさと、そしてそれらとは対照的に美しく輝く星空。


ただ、私の荒い息の音だけが響いている。


感じてしまった。


心の奥の奥の、深い部分で、納得してしまった。






もうここには……昴はいないんだって。