「…何かあったのか?」
玲は普段着の格好をしていた
いつものラフな玲の姿に安心してまた涙が出た
「別に…っ大丈夫…」
良かった、雨が降っていて
私の涙を隠してくれるから。
私のための雨。
私だけの雨。
「おい、優華…」
「そういえば、なんで今日学校来なかったの?」
何か言いかけた言葉を無視して
私は話しかけた。
「あーー…んまぁ、色々」
統夜には嫌われて
「色々じゃ分かんないよ」
玲には距離を取られてる…?
無理矢理作った愛想笑いの声は
誤魔化しきれていなかった
へたくそ…私。
「…なんか、お前もしかして俺に嫌われてるから教えてもらえない、とか思ってねぇ?」
図星だ…。
ブランコから立ち上がるとガチャガチャと音を立てる。
「違うの…?」
玲の目の前に立って首をかしげた。
「ちげーよ…ただ心配かけたくないだけ」
そう言って優しく濡れた頭を撫でてくれた
「…ごめんね、手濡れちゃったよね」
「今日は看病してたんだ…」
頭から手の温かさが消えた。
「誰の…?」
「…母さん」
玲の顔からも、表情が消えた。
「俺んちさ、父さん借金抱えていなくなって
母さん死ぬほど働いてんだ…だから、
すぐ体調崩して、その度に俺が看病してんの」
心の準備もなく聞いた話は
玲の過去で。
「…っごめん、私が勝手に思い込みして、凹んだせいで…」
玲に話したくない事、言わせちゃった…。

