「…っはぁ、はぁ」
学校が見えなくなるまで無我夢中で走った。
速度を落として歩き始める。
ポタっと頬に何かが垂れて、それを袖で軽く拭いた。
「…雨」
それはたった数分で酷い雨に変わり、一気にざぁざぁと降り始めた。
涙と一緒に流れては落ちる。
きっと、これはお天道様が私に味方してくれたのね…。涙を誰かに見られないように隠してくれる。雨だ。
私のための雨。
ブランコに座ると懐かしい音が響く。
けれど、今は雨の音と混ざって
ただただ虚しく響く。
どのくらい居たのか分からないけど、
気がつくと小雨に変わっていた。
「帰らなきゃ…」
何も考えず、ひたすらぼーっとしていた。
立ち上がろうとした時、
ジャリっと誰かの足音が聞こえる。
珍しいなぁこんな所に人が通るなんて。
そう思っていたら
聞きなれた声が聞こえた。
「……優華?」
顔を上げなくてもわかる統夜じゃない、その声は…。
「…玲」
「何やってんだよっお前…!」
きっと、今の私は異様に見えてるんだろうな
そりゃそうよね。
こんな雨の中1人でいるんだもん。

