久しぶりに電車に乗ったから、会社の最寄り駅でチャージしていたら、
「偶然だな」
聞き覚えがあるような声に振り向くと、すぐ真後ろに本田さんが立っていた。
「お、おはようございます」
「歯、治ったんだな」
「まだ仮ですけど」
「俺に連絡すれば、歯医者紹介してやったのに」
『してやった』っていう上から目線に、またイラッとする。
「結構です」
「ちゃんと治すとなると、高いだろ」
「そうですね」
「費用負担するって言ったよな?」
一瞬、負担してもらおうという考えがよぎった。
即決できない金額だったから。
でも、どうしても、頼りたくなかった。
「結構です」
「あのさ、おまえの『結構です』っていうセリフ、聞きあきた」
「偶然だな」
聞き覚えがあるような声に振り向くと、すぐ真後ろに本田さんが立っていた。
「お、おはようございます」
「歯、治ったんだな」
「まだ仮ですけど」
「俺に連絡すれば、歯医者紹介してやったのに」
『してやった』っていう上から目線に、またイラッとする。
「結構です」
「ちゃんと治すとなると、高いだろ」
「そうですね」
「費用負担するって言ったよな?」
一瞬、負担してもらおうという考えがよぎった。
即決できない金額だったから。
でも、どうしても、頼りたくなかった。
「結構です」
「あのさ、おまえの『結構です』っていうセリフ、聞きあきた」


