「本気で言ってんの?3日間ケーキ売るだけ?」

「だけじゃないよ。あのね、毎年クリスマスケーキは、翼のお家がただでくれるんだよ。丸い、一番おっきいやつ。すごいよね」

「バカなの!?」

「えっ……」


突然の暴言に固まる余裕もなく、仁奈はあたしに詰め寄る。


「せっかくさぁ、芦沢くんと付き合ってから初めてのクリスマスなのに、もったいなくない?」

「でも、翼もケーキ売るから。あたしの隣で」

「だから、それがさぁ!」

「仁奈は?泉くんと」

「デートだけど」

「本当?おめでとう!」


仁奈は、夏に友達の紹介で知り合った他校生の男子と付き合うようになった。