無糖バニラ【番外編】

「ありがとう、翼。一緒に見られて、嬉しい」


そう言いながら、冷えた手をこすり合わせると、また先ほどと同じように手を取られ、翼のコートのポケットに入れられた。

さっきは右側にいたけど、今度は左。

コツンとかたいものがポケットの中で手に当たって、それをつかむ。


「?なんかポケットに入ってるよ」

「あ」


勝手に取り出して、物を見る。

長方形の、小さな箱。

最初は綺麗なラッピングだったのだろうけど、ポケットの中でシワが寄ったらしい。