無糖バニラ【番外編】

「ごめん、母さん。ちょっと俺たち出てくる」


翼にそう告げられた翼ママも、目を丸くしている。

「たち」ってことは、あたしも?


「行くぞ」

「えっ、待って、翼……っ!」


意味が分からないまま、手をグイグイ引かれて、お店を出た。


先ほどまで晴れていたのに、外はいつの間にか雪がパラパラとちらつき始めていた。

見えるのは、自分の白い息と、目の前を歩く揺れる真っ赤な帽子。