無糖バニラ【番外編】

つい先ほどまでは浮かない顔をしていたのに、今ではすっかり本調子。

あたしの様子を見て、ずっと笑っている。

何で?全然分かんない。

分かんない……けど、翼の笑顔は好きだから、いいや。



ケーキも、ついにあとひとつで売り切れそうだという、まさにその時。


「すみません、まだケーキありますか?」

「はい!いらっしゃ……」


お客さんが来たかと思って反射的に返事をしたら。


「小嶋くん!」


最後のお客さんは、小嶋くんだった。


「ふたりとも、お疲れ。翼、マジでサンタ中じゃん。すげー似合う。来てよかった」


小嶋くんは、翼の頭の上だけに注目して、くすくす笑っている。

翼、小嶋くんにケーキ売りのこと話してたんだ。

何だかんだ言っても、仲良し。

と、思った矢先。


「帰れ」

「ちょっと翼!小嶋くんはお客さんでしょ!」