「このはは、クリスマスどうすんの?」


季節は、冬。

冬休み直前の12月22日。

すっかり帰り支度を済ませた放課後の教室で、仁奈がワクワクした表情であたしの顔を覗き込んだ。


「クリスマス?翼の家でケーキ売るよ」


あたし、内海このはは、マフラーを首に巻いて答える。


「は?何?ケーキ売りって」

「言ったでしょ。翼の家、ケーキ屋さんなの。去年は受験生だったからしなかったけど、中学の頃からずっと手伝ってるんだ」

「はー!?イブも?25日も?」

「あと、23日もだよ」

「はぁー!?」


仁奈の絶叫がこだまして、教室中の皆がこちらに注目した。