無糖バニラ【番外編】

「いかがですかー!美味しいクリスマスケーキでーす!はい、ありがとうございます!」


と、声を張り続けて、すっかり夜。

喉もカラカラになってきた頃、山のように積んでいたケーキも、残りあと少しになった。


「すっごい売れたね!残りは……」


と、指さしでケーキを数えようとした時。


――ピコンッ。


ポケットで、スマホの通知音が鳴った。


「あっ、ごめん。音消してなかった」

「いいよ、別に。今ちょうど客もいねーから、見れば?」

「ありがとう」


翼にそう言われ、スマホを取り出して画面を見ると、相手は仁奈だった。