無糖バニラ【番外編】

重いと言われてしまえば、これ以上のしかかっていられない。

あたしはそっと退いて、自分の頬をムニッとつねった。

……どうだろう。自分ではよく分からない。


「翼ー、このはちゃーん、お疲れ様!ママもケーキ作りすぎて疲れちゃったぁ。お腹すいてるでしょ?切れはしとか端っこで悪いんだけど、ケーキいっぱいあるから、食べて!」


そんなタイミングで、翼ママからの、文字通りの甘い誘惑が。


お店の中に入ろうとする翼の背中を見ながら、躊躇する。

行ってしまえば、あたしのことだから絶対食べちゃう。しかも、割といっぱい。


「どうした、このは」


気づいた翼が、振り返って名前を呼ぶ。