無糖バニラ【番外編】

自分で聞いてきたくせに、あたしが素直に肯定すると、翼は顔を赤くして目をそらした。

翼が、照れてる。

そう思ったら正面から顔を見たくなって、あたしは翼の肩に手を置いて背中に張り付いて、何とか顔を見ようと近づいた。

甘いバニラの香りがする。

やっぱり、好き。


「……このは、近い」

「え、だめ?」

「つーか、重い」

「もう!」


いつも通りの憎まれ口に、翼の頭をペシっと叩いた。

ちょっと可愛いとか思ったら、すぐこれだ。


……重い。

そうか、重いのか……。

翼の家のケーキが美味しくて、いつもつい食べすぎるせいかも。