愛を込めて極北

 リブラン社の、副社長……?


 この目の前の、ゴージャスな女性が。


 年の頃は楠木と同じくらいで、ハイヒールのせいか身長は170に迫る勢いで、背の高い楠木と並んでも遜色がないくらい。


 「副社長っていっても、父親が社長だからいわゆる世襲ってやつだけど」


 また耳元で響さんが小声で教えてくれた。


 リブラン社、つまり楠木最大のスポンサーの社長令嬢で、副社長。


 しかも美人。


 そして、楠木を公私共に支える存在……。


 あの夜囁いた「百合」という名前と、今目の前で繰り広げられた、互いを下の名前で呼び合う関係が、全てを証明しているような気がした。


 間違いない、このスポンサーの令嬢と楠木は、きっと特別な関係……そう恋人同士なんだ。


 こんな申し分のない女性がいるにもかかわらず、楠木はなぜあの夜私と……?


 分からなさすぎる。


 突然の恋人出現に、私は人生最大級な混乱の嵐の中へと放り出されたも同然だった。