「現在なら一冬我慢すれば、翌夏にはたぶん氷の監禁から脱出できたと思うんですけどね。地球温暖化も悪いことばかりとは限らない」


 彼は次から次へと話を進めて来る。


 昔読んだSF本、背後関係や地名などがよく分からずにページをめくっていただけだったけど、こうして話を聞けば何となく世界観が伝わってくるような。


 だけど私の予備知識も、そろそろ限界。


 せっかくこうして親切に解説してくれるのは、とてもありがたいのだけど……。


 彼の背後には、彼の著作物と推測される本が山積みされている。


 この流れだと、買わずに帰るのはどうも申し訳ない感じ。


 遠目でチラ見しただけでも、表紙からしてゴージャスなカラー装丁だし数千円はしそう。


 今月はテニス関連の出費が多く……さっきのガット張りのみならず、新しくシューズも買ったし、試合のためにユニフォームもチームで揃えたりなど。


 加えて給料日前のため、かなり金欠。


 どうやってこの場を乗り切ろうか。