愛を込めて極北

 ……少しずつ日の出が早くなってきてはいるものの、自宅には日の出前にたどり着いた。


 家族の寝静まった家に入り、真っ先にシャワーを浴びてそれから寝室へ。


 未だに火照っていた体の熱が、たちまちのうちに冷えたシーツへと吸い取られていくようだ。


 甘い夜が次第に遠ざかり、一人きりの肌寒い夜へと戻っていく。


 さっきまでの自分に、後悔しまくり。


 軽はずみにあんなことしてしまい、次に会う時どう接すればいいのか迷う。


 (あれは誰……?)


 終わった時に楠木は、知らない女の名を口にした。


 私の知っている限りでは、事務所に出入りする女性陣の名前とは一致しない。


 誰のこと?


 いずれにしても肌を重ねていた私よりも、どこに存在するのか知れぬその女の人が、楠木にとっては重要なのだと思い知らされて。


 大切な人がいるのに、酔った勢いで私なんかと……。


 つまり私は、そう……身代わり?


 なかなかそばにいられない誰かの代わりに、過ちを犯しただけ?


 一線を越えて充実感を覚えるどころか、一層むなしい気持ちは募るだけだった。