愛を込めて極北

 あまり周りと会話しない分、最初はビール、その後は様々なアルコール類を繰り返しオーダーしていた。


 「楠木さん、珍しいっすね。基本的に禁酒してるのに」


 カナダ極北はアルコールが禁じられている地域が多いため、日本にいる時もむやみやたらと酒は飲まないようにしているらしい。


 そんなスタンスなのに、この日は絶え間なく飲み続けていた。


 飲み放題だから、いくら飲んでも構わないとはいえ……。


 やがてお開きの時間。


 他の三人がJRの最終列車に乗らないと大変なので、最終列車の時間に合わせて店を出た。


 車で来ているのは私だけのため、他の四人を私の車に詰め込んだ。


 軽ではない、定員五名の普通乗用車ではあるものの、コンパクトカーのため社内ぎゅうぎゅう詰め。


 先に最終列車の時刻が迫っている三人を、JR北広島駅前に降ろした。


 「美花ちゃん申し訳ないね。楠木さんのこと任せちゃって」


 「大丈夫です。送り届けるだけですから」


 三人は恐縮しつつ、駅の改札へと向かって駆け足で去っていった。


 それから私は、楠木を送り届ける。


 いつの間にか後部座席で眠りこけてるようだし。


 送り届けて、さっさと帰ろう。


 ……それだけで終わるとこの時は思っていた。