「はい。大学の同級生に海外SFものが好きな子がいて。よく借りて読んでいた中にダン・シモンズの作品があって、その中の一つが『ザ・テラー』上下巻でした」


 ダン・シモンズはアメリカのSF作家で、長編作品をいくつも発表している。


 日本語に翻訳され出版された作品も多く、SF好きの友人から借りて読むことができたのだった。


 今話題になっているのは2007年に発表された『The Terror』で、同年に日本でも訳本が『ザ・テラー 極北の恐怖』として文庫本上下巻で発売された。


 「よく読もうって気になりましたね。登場人物も多いし、時系列も複雑に描かれた作品ですので、一般の方には難解じゃなかったですか?」


 「予備知識がないので、最初は誰が誰だか分からなくて……。目次の前後にあった人物紹介欄をまめに確認しながら読み進めました」


 しばらく『ザ・テラー』の話題となり、作中に描かれた地名や舞台について彼は地図を参照したり、自分で撮影した写真パネルを示しながらあれこれ教えてくれた。