「いずれじっくり説明するけれど……。楠木さんのそばにいると大変なことも多いけど、これからは美花ちゃんが支えとなってあげてほしい。そして救い出してくれたら……私の代わりに」


 最寄り駅まででいいと言われていたものの、話が長くなったこともあり、最終的に響さんの自宅まで送り届けた。


 「はい……。努力します」


 今現在別に楠木のことを好きだとか守りたいとか救いたいだとか、そういう気持ちまでは抱いていなかったため。


 曖昧な対応に終始し、響さんと別れた。


 雪解けが進み、路面はすっかり乾いてアスファルトが露出しており走行しやすい。


 スムーズな運転で帰路へついた。


 楠木に対し、程なくこのような悠長な態度を取り続けているような状況でなくなるとは夢にも思わず……。