愛を込めて極北

 「美花ちゃん。迷惑でなかったら私、協力してもいいけど。楠木さんとのこと」


 走行中に響さんは、そんなことを再び言ってきた。


 「いや、そこまでは……。私まだ、楠木さんには恋愛感情のようなもの持ってないですし」


 「まだ、ってことは今後もしかすると?」


 「……」


 「おせっかいかもしれないけれど、美花ちゃんだったらもしかしたら可能かなって思うんだ」


 「何がですか?」


 「楠木さんを……。蟻地獄から解放すること」


 「蟻地獄?」


 意味が分からず、運転中にもかかわらずつい響さんのほうを見てしまった。


 「今のままじゃよくないと自覚してるし、楠木さん自身もやめたいと思ってる。でも大きなきっかけがない限り、きっといつまでも今の状態が続くの。それは蟻地獄のように、救いのない世界」