愛を込めて極北

 「それって……。言うまでもないですね」


 全く予備知識どころか興味のない人に「極北が……」「フランクリン隊が……」などと延々と語り続けても、退屈でうんざりしてしまうかもしれない。


 私だったら、マニアックな趣味を持っていたとしたら、そういう話は仲間同士の時だけで我慢して、他の友達と一緒の際はそっちに合わせた話題に溶け込もうとする。


 しかし楠木からは、そういう協調性らしいものはあまり見られない。


 周囲にいるのは同業者か支持者、ファン諸々のため、あまり気を遣う必要のない環境にあるのかも。


 「でもスポンサーへの配慮はあれこれ大変だから。彼も結構気を遣って生きてるんだよ」


 毎年極北を訪れるには結構費用がかかるため、本を出版したり講演会をやったりといった自力の活動だけではちょっと苦しい。


 そこれスポンサーの存在と支援が必要不可欠なのだけど……。


 「間もなく東京に出向いて、スポンサーと会食するって予定ですが、だからいつもスポンサーの話題になると表情が暗くなるんですね」


 「そうだね……。それが一因」