愛を込めて極北

 「時速七キロったら、歩くよりはちょっと速い程度ですね」


 車の時速七キロといえば、超のろのろ運転。


 渋滞の最中とかでないとあり得ない速度。


 ……最終バスに乗り遅れて、地下鉄の駅から自宅まで歩いたら約二キロの道のりに30分くらい要した。


 10キロマラソンに出場した友達が、何とか一時間を切った……と話していたから、それで時速10キロ程度ってこと。


 「150年以上前は、時速七キロの航行でも画期的なものだったんでしょうね」


 「他にもスチーム暖房や、真水供給装置なども備え付けられていて、当時からすると超ハイテク機器を備えた艦隊だったらしい」


 「そうですね……。隊が出港した1845年といえば、明治維新よりも前、江戸時代末期なんですよね」


 「まだ黒船も来てないし、幕末よりもちょっと前、天保の改革とかやってた頃じゃないの」


 フランクリン隊の遭難事件は170年ほど前、遺物や遺体がまだ
リアルに残っていたりするせいもあって、そう遠い昔といった感じはしない。


 だけど天保の改革やら黒船来航、幕末……とか同時代の日本で起こった歴史上の出来事と比較してみれば、はるか昔の出来事なんだって実感せずにはいられない。