愛を込めて極北

 なんか、料理教室に参加した気分。


 それからチョコレートをトレイに移し、一時間くらい冷却するのだけど……。


 冷蔵庫はカットした野菜類で満杯。


 「今の屋外は天然の冷蔵庫だから、見つかりにくい場所に置いて冷やしましょう」


 一時間後にはちょうどバーベキュータイム真っ最中。


 盛り上がったタイミングで、満を持してチョコレートを提供する……という計画らしい。


 なんか私の泡立て結果、他の二人よりショボく見えたのはきっと気のせいだろう。


 チョコレートを冷却場所に隠し、すでに準備を済ませた食材を冷蔵庫から取り出してリビングのテーブルに運ぶ。


 「えっ外で食べるんですか」


 男性陣はまるで夏のように、コテージのテラス部分でバーベキュー台の準備していた。


 「一応、極地模擬体験ツアーだからね。極地の寒さには全然及ばないけど」


 名前の分からない参加者の男性が答えた。


 いくら極地ではないとはいえ、ここでも夜はマイナス10度くらいにまで下がりそう。