愛を込めて極北

 しばし北極圏の動物写真で癒されていると、早いもので講演会ももう終盤。


 最後は来場者からの質問タイムと、プレゼント抽選会が予定されていた。


 質問は主に子供たちから。


 「カナダに移住はしないんですか?」


 カナダ極北までの移動は、新千歳から成田、成田からオタワやモントリオール、そこからさらに極北行きの便への乗り換えが必要。


 数度の乗り換えを要し、一日では絶対に目的地まではたどり着けない。


 しかも最終目的地までは週に数便しか出ていなかったり、悪天候による遅延どころか何日も待機させられることもザラ。


 そんな大変な思いをして現地入りするくらいなら、向こうに永住したほうが楽なんじゃないかって子供は感じたようだ。


 「移動は大変ですが、ずっと向こうにいるわけにはいかないんですよ。冬は一日中太陽が上がらず、真っ暗でできることも限られるし。それにできるだけ日本でお金を稼いで、活動資金を蓄える必要がありますしね」


 現地入りし空気を吸うだけで、本来の自分に戻ったような気がする……と言い切るほど極北の地を愛しているのに。


 先立つものがなくては、その地に足を踏み入れることもできないのがこれまた現実。