愛を込めて極北

 「それは……」


 卒業、すなわち支援打ち切りを想定し、楠木は青ざめる。


 自立したいという願いはずっと前から持ってはいるけれど、いきなりの独立は自爆にも等しい。


 「安心して。あなたの夢の応援は続けるつもりだから」


 「百合……?」


 百合さんの真意を測りかねたままの楠木は、言葉を選ぶ。


 「今のままじゃだめだと痛感して。これまでの私を見つめ直す時間がほしくて。……暁、あなたとの関係も」


 楠木は黙って百合さんの言葉に耳を傾け続けた。


 「これまで暁を愛してると思ってたから、束縛し独り占めし続けていた。だけどそれは独占欲により意地になっていただけで、そんな自分が嫌になったの」


 「それは……」


 「勘違いしないでよ。あなたから完全に撤退するわけじゃない。無期限の冷却期間を設けるだけ」


 「冷却期間?」


 「しばらく自分を見つめ直してみて、それでもやっぱり暁なしじゃいられないと悟ったら、いずれまた戻ってくるから。婚約者のポジションに」


 百合さんは楠木と別れるわけじゃない。


 だから私も、楠木の言葉を受け入れるのは……不可能。