愛を込めて極北

 私と楠木の間に戦慄が走る。


 百合さんがこのまま引き下がるとは思えない。


 今までリブラン社を通じ、いったいどれくらいの莫大な支援を楠木のためにしてきたことか。


 数百万、いや数千万、もしかしたら億単位かも?


 そんな大金、私が一生かかっても稼ぐことのできないような大金を気前よくポンと、何の見返りもなく提供してくれるなど、絶対にあり得ない。


 そしてこれかの支援に関しても……。


 百合さんが身を引き、それと同時に今後の支援をストップされたら、楠木は存亡の危機。


 本人は這いつくばってでも他のスポンサーを探すと言い張るが、そう簡単に見つかるのならとうの昔に見つかっているはず。


 と同時に、これまでの支援を全て返還しろなどと訴えられでもしたら。


 楠木の冒険どころか、人生全てが破綻しかねない。


 それほどの決定権を、今の百合さんは保持している。


 楠木の生殺与奪(せいさつよだつ)の権利を有しているのは、まさに百合さん。


 楠木を生かすも殺すも、まさに百合さんの気分次第……。