愛を込めて極北

 「どこで見つけたんですか」


 「どこって……。だからキングウィリアム島西岸」


 「フランクリンの墓を発見したんなら、歴史的快挙じゃないですか。どうしてもっと早く公表しなかったんですか?」


 そんな快挙を達成したのならば、バッシングだって一瞬にして収まるかもしれないのに。


 「……残念ながら、発見場所を記録できなかったんだ」


 「えっ。カメラやGPSがあればそんなの」


 「アイテムは全て、リュックごとシロクマに持ち去られた後だったから」


 「それでも天体の位置情報を元に、緯度経度を計測することだって」


 「濃霧の中だったし、記録も取れなかった」


 「えーっ」


 「でも見つけたのは事実だから、後日改めて現地に入れば、」


 「……もしかして、夢だったんじゃないですか」


 「違う! 俺は確かにこの目でフランクリンの墓を」


 結局、堂々巡り。


 楠木が発見したというフランクリンの墓に関しては、確かめようがないままだった。