愛を込めて極北

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 それから数日間。


 依然として楠木は行方不明だった。


 現地は悪天候が続き、捜索機が着陸できない状態のまま。


 そろそろジョアヘヴンを出発した捜索隊が、現地に到達しているはずなので、何らかの情報が入りそうな気がするけれど……。


 たとえ最悪の結末でもいい。


 何らかの手掛かりがほしかった。


 今のまま行方不明が続けば、誰しも中途半端な状態で、苦しい日々から抜け出せない。


 そして連日、テレビや新聞などマスコミが騒いでいる。


 捜索が長引くにつれて、自己責任論が勢いを増し。


 楠木の活動に対するバッシングが鳴り止まない。


 「捜索費用は我々の税金から提供されている」だとか噂が独り歩きして。


 一旅行者の向こう見ずな道楽の尻拭いを、なぜ自分たちがしなきゃならないんだ的な批判が沸き起こっていた。


 「こういう時のために障害保険に人より多く加入し、支払いもしていたんだけどね!」


 スタッフの人もご立腹。


 楠木のことを直接何も知らない人たちが、楠木に対して勝手にレッテルを貼って、昼夜を問わず上から目線で好き勝手言い放っているのだから。